生命の授業

◆本実践は、野口芳宏氏の「生命の授業」の追試である。
 この難しい題材が、小学1年生にも通用すると言うことを
 証明できた。(と思う)

 自分にとって、1番大事だというものやことを書きなさい

 子どもたちの顔はぱっと明るくなる。
 こういうことを訊かれるのがとてもうれしいのだ、1年生は。
 ノートに書けたのを確認して、全員発表させる。
・片づけ    ・こころ   ・片づける  ・自転車
・食べること  ・オルゴール  ・ママ  ・足し算
 『そうか』『なるほど』と言いながら、全ての意見を認める。
 そして、こう訊く。
『確かにとても大事なものばかりだね。○○くんが言ったんだけど「食べること」は
 なぜ必要かな?』
「生きるため」と○○くん。
『そうなんだよ、生きていることが大切なんだ。言い換えるといのちだな。命がなきゃ
 大好きなママにもあえない、自転車にも乗れないんだよ。命があるから、そういうこ
 とができるんだよ。だから、命が一番大事なんだな。命が大事じゃないと言う人いる
 かな』
 神妙な顔で子どもたちはこちらを見、そして首を振る。
『そこで、今日は命のことを勉強してみようと思うんだ』
 子どもたちが、3人、「やったー」と声を上げた。

 それじゃあ、命はなぜ大事なんだ?

 何人かに意見を聞きました。
 ・なかったら死んじゃうから。
 ・死んだら困るから。
 ・死んだら何もできないし、悲しいから。
 ・命がないとお父さんの母さんに会えないから。
『なるほどだから大事なんだな。それじゃあ、その大事な命なんだけど……』

 自分の命は、自分だけのものか?俺の命は俺のものだと言う人は、紙に○。そう
じゃないと言う人は×を書いてごらん。

 分布をとる。
 ○→3 (自分の命は自分のもの)
 ×→5 (そうではない)
 ○の子どもたちに立ってもらって理由を聞く。
『どうしてそう思うかな?』と優しく訊きます。
 全員首をひねっています。
 そのうち、○○くんが、意見を言います。
「自分の命だから、体だって動かせるし、自分の思い通りにできると思います」
『じゃあ、反対の意見はあるかな?』
 ザザッと×の5人全員が立った。
 ○○くんが言う。
「○○ちゃんおばあちゃんが死んじゃったときも、自分だけの命じゃないからみんな悲
 しんだと思います。」
 ○○くんが言います。
「もし、自分がけがをしたりしたら、お母さんが悲しむと思うから」
 ○○ちゃんが言います。
「もし、お父さんとお母さんが出会わなかったら、私もいなかったから、自分だけの命じ
 ゃない」
『自分の命は自分だけのものじゃないというのが、どうやら正しいみたいだね。自分だ
 けの命じゃないから大事にしなきゃいけないんだ、自分の命は』
 次に話を転換する。

 ところでね、その大事な命なんだけど、人間の命は大事だけどね、他の生き物の命はどうなんだろう。同じくらいに大事だという人は○、そうじゃないと言う人は×。

 これは、全員が○。

 それなら訊くけども、みんなその大事なほかの生き物の命を食べちゃってるじゃない?

「うーん」という困った顔。

  「生きていく以上仕方がない」のか、それともやっぱり殺しちゃダメか?

 子どもたちは、「生きていくためには仕方がない」と言う。
 それならと言って次のように訊く。

  ほかの生き物の命をもらうとき、つまり食べるとき、気をつけなきゃいけないことは あるかな。

 これには、○○くんが「いただきます」「ごちそうさま」をきちんという、○○くんが「残さず
食べる」と言った。