国語科学習指導案
授業者 山 田 洋 一
1,授業名 漢字と日本語
2.授業について
そもそも、漢字って何なのか?
これが、この授業を作る始点である。
考えてみれば、漢字は、就学したら教わるもので、覚えるのが当たり前のものである。
しかし、漢字とはそもそも何で、どのように日本語になったのか、子どもたちはよく知らない。
なんだかわからないものを教えられ、覚えさせられているわけである。
この授業では、その点の改善を図りたい。
3,ねらい
漢字の日本語化の過程を知ることを通して、漢字や日本語への関心を高める。
4,授業の流れ
│学習活動・思考の流れ │
│ │
│ @ 人類が文字を必要としたのはなぜでしょうか? │
│ │
│ A 人類が文字を発明したのは今から何年くらい前だったでしょうか? │
│ ・2千年前 ・3千年前 ・5千年前 │
│ │
│ B この頃、世界各地で文字が発明されました。例を見せます。 │
│ A ヒエログリフ │
│ B 楔形文字 │
│ C 甲骨文字 │
│ │
│ C 3種類のうち、現在も引き継がれて残っている文字はどれでしょう? │
│ │
│ D これは今なんていう文字になっていますか?どこで発明されたのですか? │
│ │
│ E 漢字のように、現代にもその一部が残っているという文字がほかにもあると思い│
│ ますか? │
│ F なぜ漢字は生き残り、ほかの古代文字はなくなってしまったのでしょうか? │
│ │
│ G そうして生き残った漢字は、長い時間をかけてあちこちの国へと伝わっていきま│
│ す。その一つが日本です。 │
│ │
│ H 漢字は日本に何年くらい前に伝わったのですか? │
│ およそ2000年前 およそ1000年前 およそ500年前 │
│ │
│ I 漢字にふれた日本人は、漢字をまずどのように使ったでしょうか? │
│ │
│ J 日本人は、次のように漢字を使っていったことを説明する。 │
│ ・マーク │
│ ↓ │
│ ・二重言語時代(話し言葉→大和言葉、書き言葉漢文) │
│ ↓ │
│ ・表音文字(自分の名前を漢字を使って表してみましょう) │
│ ex 由吉能伊呂遠 有婆比弖佐家流(ゆきのいろを うばいてさける) │
│ 問題点 長すぎる │
│ ↓ │
│ ・漢字に日本語の読み方を乗せる。 │
│ ex 山(サン やま) │
│ ↓ │
│ ・「我愛イ尓」これを、日本語として読むときどのようにしたら読めるでしょうか?│
│ │
│ K このようにして、漢字仮名交じり文という日本語を表す表し方が完成したわけで│
│ す。世界に、漢字をそのまま使おうとした国はあっても、日本のように、自分の国│
│ の言葉が表現できるように、漢字を変化させたのは日本人だけでした。しかもそれ│
│ は、漢字が伝わってから300年くらいの短い時間の中でやってのけたことでした。│
│ │
【参考文献】
白川静『漢字』(岩波新書)
大島正二『漢字伝来』(岩波新書)
山口仲美『日本語の歴史』(岩波新書)
石川九楊『二重言語国家・日本』(日本放送出版協会)
笹原宏之『日本の漢字』(岩波新書)
加藤徹『漢文の素養』(光文社新書)