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子どもを動かす語りネタ
   24〜をアップ!!


@ 子どもたちの言葉遣いや話している内容が、気になったら
  
本当にあった話です。
  筑波市という町に住んでいる高校2年生の男の子が、バイクに乗っていると
 きに交通事故にあってしまいました。
  とてもひどい事故で、不幸なことにその高校生は脳みそのおよそ半分に損傷
 を受け、首から下にひどい麻痺が残って、ほとんど腕などは動かせない状態に
 なってしまいした。しかも、お医者さんの見立てでは、一生その麻痺は残るで
 あろうということでした。
  ところが、一人だけ、あきらめない人がいました。
  その高校生のお母さんです。
  毎日、息子に励ましの言葉をかけ、リハビリをさせました。息子もそれに応
 えがんばりました。
  そのうちにその親子の姿に感動し、看護婦たちも一緒に高校生に温かい言葉
 をかけ励ましました。
  すると、2ヶ月後には、ピクリともしなかったその高校生の手は動くように
 なりました。
  しかも、その高校生はその後も奇跡的な回復を見せ、ついに学校に戻ること
 ができるようになりました。
  しかし、そのときある先生がこのようにその高校生に言いました。
 「たいへんな事故だったから、ふつうのクラスで勉強することは無理かもしれ
  ない」
  それを聞いた高校生の手は、その夜再び動かなくなったそうです。
  その高校生の体を動かしたのも人の言葉、また動かなくしたのも人の言葉で
 す。
  言葉には、それだけ力があるのです。
  どうせなら、人を元気にする、人を活かす言葉を話したいですね。
 
     出典:太田典生『一日一話 心に残るいい話』(三笠書房)


A 挑戦する心を育てたい
  
映画界に喜劇王と呼ばれた人がいました。
  名前くらいは聞いたことがあるでしょう。
  その人の名前はチャップリンと言います。
  チャップリンが、年を取ってからの話です。
  チャップリンは、それまでに「独裁者」「モダンタイムス」「街の灯」など
 の名作をつくり、すでに社会に才能を認められていました。
  そして、あるインタビュアーに「あなたの作品の中であなた自身が傑作だと
 思う作品は何ですか」と尋ねられました。
  チャップリンはどう答えたでしょうか。
  なんと、チャップリンは「次に作る映画だ」と言ったのです。社会的に成功
 してるチャップリンが選んだ作品は、それまでに作った数々の名作ではなく、
 これから作るまだ影も形もない次回作だったのです。
  現状に満足しないで、次に挑戦する気持ち、すばらしいですね。


B 数が少ないから間違っているとは限らない、ということを伝えたい(討論学
 習の時など)    
  
山陽銀行という銀行がありました。社長は吉田憲治と言う人です。
  吉田社長は、山陽銀行というのは平凡すぎると考えていて、何かいい名前は
 ないかとずっと考えていました。
  ある朝、食卓に並んだあるものをみてこれだと社長は思ったそうです。
  何だと思いますか。それは、なんとトマトでした。
  銀行の名前をトマト銀行にしようとしたのです。
  トマト銀行、これには社員みんなが反対しました。
  トマトが好きな専務以外の全員が反対でした。
  女性社員のなかには、「トマト銀行に働いているなんて言ったら、お嫁にい
 けない」というものがいたり、やっぱりみんなで投票で決めましょうというも
 のがいたり、反対ですと言うことがかかれた手紙が吉田社長のところに届いた
 そうです。
  でも、強引にこの名前に決めてしまいました。
  しかも、これで失敗したら全員の責任だからな、と社員には念を押したそう
 です。
  なんとひどい社長だと思うでしょう。
  ところが、その後トマト銀行はその親しみやすい名前のおかげで急成長し、
 トマト銀行という名前は、年末の流行語大賞で特別功労賞にも選ばれました。
  ですから、少数意見がいつでも間違っているとは限らないのです。

    出典:船井幸雄監修『一流人のあの選択、この決断』(三笠書房


C スピーチの指導の前に
  
読み手に良く伝わる作文のこつを教えてあげましょう。
  それは、短くズバリ書くことです。
  あるファーストフードのチェーン店では、新入社員にビデオ9本と30冊の
 マニュアルを読ませるそうです。
  しかし、あのディズニーランドの掃除マニュアルには、たった一行しか書い
 ていないそうです。
  その一行とは、「赤ちゃんが平気ではいはいできるくらいにすること」。
  さあ、どちらが社員にはわかりやすいでしょうか?
  短くずばりいうこと、大切ですね。


D スキー学習の前に
  
スキー場で最も多い事故と言えば転倒、続いて人や立木などへの衝突です。
  そういった事故から体を守ってくれるのが帽子です。
  帽子は、体温を維持するのにも役立ちますが、けがを防いでもくれます。
  先生が、小学生だった頃、本当にあったお話です。
  あるとってもスキーの苦手な子が、ゲレンデから滑り降りてきて、リフト待
 ちの子の列につっこみました。
  その子は前歯を折る大けがをしました。
  また、ぶつかられた方も頭を切って重傷でした。
  ところが、不思議なことに折れた前歯が見つからなかったのです。
  みんなで探しましたが、どうしても見つからないのです。
  前歯は、病院で見つかりました。
  どこにあったと思いますか?
  なんと、歯は、当たられた方の子の頭に突き刺さっていたそうです。
  その子は、帽子をかぶっていませんでした。
  さあ、明日、多少あつくても、しっかりと帽子をかぶりましょうね。

E 笑いのあるクラスに
  
アメリカのゲイツ博士という人が実験をしました。
  どんな実験かというと、人間の吐く息についての実験でした。
  人間の吐いた息を試験管に入れてぐっと冷やすと、そこに液体がたまるのだ
 そうです。
  その液体は、健全な人のは無色だそうです。
  ところが、怒っている人のは栗色、悲しんでいる人のは灰色、後悔している
 人のは薄紅色と色が付いていたそうです。
  しかも、怒っている人の液体を、ネズミに注射すると数分でネズミは死んで
 しまったそうです。
  つまり、怒っている人は毒をはいているも同じなのです。
  もしも、一人の人間が一時間腹を立て続けると、80人もの人を殺せる毒が
 作られるそうです。いつもいらいらしている人は、自分が作った毒で自分が不
 健康になるばかりでなく、人にもひどく迷惑をかけているわけです。
  ところで、全く逆の話もあって、人間が笑うとき、脳の中の善玉ホルモンが
 ドバドバとでて、末期ガンが治ったという本当の話があります。
  だから、うんと笑うことは体にとってとってもいいことなのです。

  出典 笠巻勝利『目からウロコが落ちる本』(三笠書房)


F 人を変えるのは、やっぱり人の思いやり
  
秋田県秋田市に今村病院という病院があるのですが、簡単にいうとその病院
 は、痴呆症(ぼけといわれる症状)の高齢者が6割もいる病院だそうです。
  そこに、Aさんという患者がいて、とても重たいアルツハイマー症だったそう
 です。
  具体的にどんな状態かというと、人の病室に入ってコップをはなさない、消
 化器を持ち歩く、自分のうんこを服に塗りたくる、おむつを交換するときは付
 き添いの人を殴る蹴るした。それはもう大変な患者さんだったようです。
  ところが、付添人がMさんという人に変わってから、少し状況が変わりました。
  まず、常にきれいな服を着せてやった。汚れたらすぐにです。
  そして、とにかくAさんが触れるすべてのものについて語りかけたり、「気持
 ちいいね」と声をかけたりしたんだそうです。そして、できるだけ笑顔で接した。
  するとなんと、4ヶ月たったある日、言葉のなかったAさんが、Mさんに「い
 つもすまんなあ」と声をかけたのだそうです。
  痴呆症というのは、脳の病気で回復するのは、ほとんどないそうです。
  でも、付添人のMさんのおかげで、Aさんは回復したのです。
  人を変えるのは、やっぱり人の優しさ、思いやりなのですね。

  出典 太田典生『「いい話」のおすそわけ』(三笠書房)
  

G 意外な解決策@
  
オランダの国際空港で、男子トイレの汚れが問題になったことがあります。
  オシッコを便器からはみ出させてしまう人がいて、便器の周りが汚れるとい
 うものでした。
  ところが、この汚れを防ぐ画期的な方法が考え出されました。
  それは、一匹のハエの絵を便器に描くというものでした。
  用を足そうと思った人は、もう本能的にオシッコでそのハエを落とそうとす
 るのですね。だから、オシッコがきちんと便器に収まる。
  この案は、大成功でした。
  解決策というのは意外なところにあるものですね。

  出典 高橋昌義『発明なんかどうですか?』(総合法令出版)


H 意外な解決策A
  
手軽で簡単にうまみを添加できる「味の素」は、料理の強い見方です。
  この「味の素」、一時期販売数が伸び悩んだことがあったそうです。
  そのとき、全国の支店に販売促進のアイディアを出せと会社幹部は命じまし
 た。
  ところが、パッケージを新しくするとか、商品自体の質を上げると言ったあ
 りきたりのものしかなく、実際販売数は落ち込んだままでした。
  ところが、ある社員がとんでもないことを言い出しました。
  それは、味の素のふたの穴を大きくしたら、というものでした。
  人が、味の素の瓶を降る回数は決まっている、だから穴を大きくすればそれ
 だけ使われる量も増え、最後にはもっと味の素が売れるようになる、というの
 です。
  そして、「味の素」はこれを採用したのです。
  なんと結果は、売り上げが驚異的にのびたというのです。
  
解決策というのは意外なところにあるものですね。

10、「少年ジャンプ」の3つの合い言葉
 
雑誌を編集する場合に、一番大切なことは、読んでくれる人の意識を上手くつ
かまえると言うことだそうです。
 みんなもよんでいる「少年ジャンプ」。
 この雑誌は、今でこそ業界ナンバーワンですが、発売当初は他の雑誌に人気漫
画家をとられてしまっていて、大変苦労をしたそうです。
 そこで、何より力を入れたのは、読み手(つまり小学5,6年生)がどのよう
な意識を持っているかを知ることだったそうです。
 小学生にイメージ調査を行ったところ、一番心温まるのは「友情」、一番大切
なことは「努力」、一番嬉しいこことは「勝利」ということがわかったそうです。
 漫画を読むのはいけない事だなんて大人は言うけれど、こうして3つの言葉を
聞いてみると、どうしてどうして漫画だって捨てたもんじゃないですね。


11、出版者の名前はどうきまる?
 
本を出版する会社を出版社というけれど、その出版者社名前はどう決めたかとい
う話は結構おもしろいですよ。
 決め方には幾つかのパターンがあります。
 まず一つは、その会社が一番力を入れている雑誌の名前がそのまま会社名になっ
た場合 。
 例えば、「新潮社」「文藝春秋社」「中央公論社」「暮らしの手帖社」「主婦の
友社」なんかがありあます。
 次に会社を作った人や場所に関係するもの。「岩波書店」「河出書房」「角川書
店」など。
 そして最後の極めつけが何となくつけた。「平凡社」。

※以上10,11は
    出典 素朴な疑問研究編『「本」の秘密がズバリわかる本』KAWADE夢文庫


12、10時10分の不思議
 みなさん時計の広告や時計屋さんに並んでいる時計を見て、どれも10時10分
になっていることを不思議に思ったことは有りませんか。
 あの10時10分には実は意味があります。
 初めて、10時10分を使ったのはスイスの時計会社だったそうです。
 会社のトレードマークが隠れずに、一番美しく見えるかたちだという訳だそうで
す。
 日本もそれをまねしたことにあるわけですが、日本の会社のばあいもっと細かく
決まっていて、セイコーは10時8分42秒、シチズンは10時9分35秒となっ
ているそうです。
 まねの仕方にも個性っていうのはあるものですね。


13、郵便局の〒のマークの不思議
 
郵便の制度を作った人は、前島密という人で、郵便の始まりは、明治時代、文明
開化の一つの象徴でした。
 ところで、当時から変わらないのがあの郵便局のマーク。
 何かの字に似ていますよね。
 あれは実はカタカナの「テ」をデザインしたものなのです。
 でも、「郵便局」とカタカナの「テ」は関係ないじゃない、と思うかもしれませ
んね。
 実は、郵便局は当初逓信省の管轄だったので、逓信省のテをとったのだそうです。
 
※以上出典 博学こだわり倶楽部編『カタチの不思議』KAWADE夢文庫


14,色の不思議
 私たちの周りには、たくさんの色がありますが、その色が私たちの心にも影響し
ていることは知っていますか。
 例えば、赤やオレンジなどの暖色は、時間を長く感じさせます。
 結婚式場などは、暖色系の色が多いわけですから、実際の時間よりゆったりとし
た印象を人は持つそうです。
 一方、青、や水色の寒色は時間を短く感じさせるのだそうです。だから、病院の
手術室は、寒色なのでしょう。
 ということは、いやな作業を一定の時間しなければならないときは、青っぽい部
屋でした方がいいと言うことですね。
 ※出典野村順一「謎解き色彩学」(ワニ文庫)


15、見えないところに工夫はある
 
今、日本にはなんと545万台の自動販売機があるのだそうです。
 あの自動販売機、商品の出口がどうしてあんなに下にあるのだろうかと不思議に
思ったことはありませんか?
 もっと、上に有ればとりやすいのにって。
 実は、上から、商品を出すようにすると、一度商品を上に持ち上げなければなら
なくて、3,5秒よけいにかかってしまうそうです。3,5秒くらいと思うかもし
れません、自動販売機を造っている会社はきちんと、人間が待てる時間というのを
調査しているのです。
 なんと、日本人が待てる時間はわずか4秒。アメリカ人は12秒だったそうです。
 日本人はかなりせっかちな人種と言うことになるわけですが、そのために自動販
売機を造る会社は、早く落とすための工夫をしているということですね。
 ※出典 山根一眞『メタルカラーの時代3』(小学館文庫)


15,英仏海峡トンネルに貢献した日本の技術
 
イギリスとフランスの間をトンネルでつなごうという発想は昔からあったようで
す。
 一番ふるい記録は、ナポレオンが1150年前にビクトリア女王に提案したのがは
じまりで、それ以来26回もの計画がされてきたそうです。
 そして、とうとう1994年にトンネルが完成しました。
 その時、日本の穴を掘る技術(掘削技術)が活躍したことは、あまり知られていま
せん。
 穴を掘った機械は、直径8,78メートルの巨大な筒のような形をしています。そ
して、それこそは日本の川崎重工という会社が開発したものでした。
 この機械、20キロメートル掘っても、誤差は2センチメートル以内だそうです。
 こうした技術を私たちの国が持っているというのは実に誇らしいですね。

 ※出典 山根一眞『メタルカラーの時代3』(小学館文庫)


16,「学」と「教」では大違い
 
学ぶという漢字と「教える」という漢字は、どちらも勉強に関係のある漢字ですが、
意味はまったく違います。
「学」は自ら手をさしだしている姿を文字にしたものですが、「教」の字はむちで打つ
という怖い意味があります。
 勉強は、人に教えられるよりも、自分から学んだ方がいいとみなさん思いませんか。
 ※不思議日本語ゼミナール編『【漢字】の謎と暗号』KAWADE夢文庫

17、見えないところに工夫はある2
 知っているようで、実は知らないということが、よくあります。
 みなさん、家にあるコンセントの穴が、左右大きさが違うことを知っていましたか?
 実は、家庭用の電気というのは6600ボルトもある電流を100ボルトに下げて、
各家庭に送っているのです。
 可能性としては非常に低いですが、万が一6600ボルトの電流が家庭に流れたら、
これはもう大惨事です。
 そこで、電流を地面に流すアースが必要なわけです。
 コンセントの家の片方は、地面へとアースとしてつながっているのです。
 見えないところに工夫というものはあるのですね。
 ※博学こだわり倶楽部編『カタチの不思議』KAWADE夢文庫


18、暖かい地方と寒い地方
 
雪がたくさん降るところを雪国といいますが、雪国には雪から自分たちの生活を守る
ためのいろいろな工夫があります。
 例えば、信号機。
 雪国の信号は横型ではなく、縦型のものがとても多いのです。
 なぜかというと、横型の信号機は、雪が積もる面積が広くなってしまって、見えなく
なることが考えられるからです。
 これを縦型にすれば、雪は積もりにくく、信号も見やすくなるわけです。
※オリジナル


19,暖かい地方と寒い地方2
 
雪がたくさん降るところを雪国といいますが、雪国には雪から自分たちの生活を守るた
めのいろいろな工夫があります。
 例えば、携帯電話の影響で最近めっきり影の薄くなった電話ボックス。
 雪国のの電話ボックスは、雪が積もったときに、ドアが開かなくなる可能性があるので、
初めからコンクリートの台に乗っかっていて少し周りよりも高くなっています。また、脇
には階段までついているものもあります。
 雪国に住む人たちは、あたたかい地方に住む人には想像もつかない工夫をしているので
すね。


20,失敗は挽回できる
 
あるローカルテレビ局のアナウンサーが、日曜大工の番組で本棚の作り方を実演しなが
ら説明しようとしたそうです。
 ところが、用意してあった板がとにかく切れない。のこぎりをひこうとおそうととにか
く切れなかったそうです。
 画面には、アナウンサーが汗だくになってひたすら木を切ろうとしている姿が延々流さ
れたそうです。
 やがて、時間切れ。放送時間がおわりそうになったときに、そのアナウンサーは、機転
を効かせこう言ったそうです。
「さあみなさんも日曜大工で、私のようにいい汗を流してください」。
 失敗はしたけれども、取り返したという話です。
 
 ※板信一郎『ユーモアスピーチ』(PHP)

21,地球カレンダー
 
地球が誕生したのは、今からおよそ46億年前と言われています。
 その地球が誕生した瞬間を、1月1日午前0時として、今現在を12月31日午後11
時59分59秒999……と仮定したものを地球カレンダーといいます。
 地球にはじめての生命が誕生したのが2月17日、脊椎動物が陸上にあがったのが12月3日、そして人類が誕生したのはなんと大晦日の12月31日なのです。
 人類はたったその一日の間に、宇宙へと飛び出し、コンピューターを開発したのです。
 人間とは、本当にすごい生き物ですね。

※出典 向山洋一編 岩切洋一著『「地球のすべて」がわかる本』(PHP)


22,神無月
 
月の異名に神無月というのがあります。
 神無月は今で言う10月です。
 神が無い月で神無月なので、何と不吉なと思うかもしれませんが、実はそんな恐ろしいこ
とではなくて、10月は全国の神様が、出張に出かけるのでいなくなるのだそうです。
 では、どこに出張かというと出雲大社だそうです。
 ですから、10月は、出雲にしか神様はいないと言うことになります。
 そのかわり、出雲地方だけは、「神有月」なわけです。

 ※日本知恵の輪会『「数字言葉」の謎解き事典』(ワニ文庫)


23,正義の人
 第2次世界大戦中に、リトアニアという国で外交官をしていた杉原千畝という人を知って
いるでしょうか。
 当時、ドイツのヒトラーは、ユダヤ人を差別し、迫害していました。
 千畝のいた大使館には、毎日のように、ナチスドイツの迫害を逃れ、外国へと逃げるため
のビザの発行を求めて、ユダヤ人か押し寄せました。
 ところが、日本政府は、ユダヤ人にビザを発行することを、認めませんでした。初め千畝
は、その通りにしていましたが、良心に突き動かされ、自分の一存でビザを発行しました。
 大使館が、閉鎖された後もホテルでビザにサインを書き続け、いよいよ国外に千畝自身が
退去するときには、駅のホームでもサインしたそうです。
 やがて、千畝の乗った列車が動き始めると、ユダヤの人々が「ばんざい、日本!バンザイ
千畝」と叫んだそうです。
 千畝によって救われた人は、6千人とも、1万人とも言われます。
 こういう外交官が日本にいたと言うことは、とても嬉しいですね。
 ※藤岡信勝『教科書が教えない歴史』(扶桑社)、ヒレル・レビン『千畝』(清水書院)   

24,お金はおもしろい(追究を促すネタ)
  
1円、5円、10円、50円、100円、500円
 の6種類といえば、日本で造られている硬貨
 の種類です。
  さて、その中で5円玉には、どんな絵が描
 かれているか思い出せる人はいますか。
  5円玉には、次の3つのものが書かれてい
 ます。稲、波、歯車。これらは、それぞれ農業
 水産業、工業を表していて国の大切な産業を
 表しているのです。知っていましたか。
  普段、何気なく使っているいる硬貨ですが、
 よく見てみると、はてなと思うことがいっぱい
 です。
  例えば、縁に溝が彫ってある硬貨はどれで
 しょう。また、それはなぜでしょう。
  10円玉に描かれている、建物は何でしょう。
  硬貨の裏と表はどのように決まっているでし
 ょう。
  さあ、今日家に帰って、硬貨を並べて観察し
 てみましょう。そして、おもしろいことや不思議
 なことが見つかったら、先生に明日教えて下さ
 い。 

25,ユーモアでお返し(高学年・子どもたちのギスギスした人間関係
  が気になったら)
  
鹿児島県では、毎年夏になると桜島からの
灰が降るそうです。
 そして、毎年のように、その灰について「何と
かして欲しい」という苦情の電話が県庁に,た
くさん来るそうです。
 あるとき、知事さんのところに酔っぱらった男
から電話がかかってきました。
いきなりその男はこういいます。
「県は何をやっているんだ!」
「何のことでしょう」と知事さんが言うと
「なに!桜島の灰のことだ。何とかしろ!」
「何とかしたいのですがねえ」
「桜島にふたでもしたらどうだ!!」
 すると知事さんは、落ち着いた声でこう返した
そうです。
「分かりました。あなたの言うとおりにします。た
だしふたはあなたが作って下さい」。
 誰かから無理難題を押しつけられたとき、本気
で返したら喧嘩になってしまいます。
 かといって黙って相手の話を聞くのも腹が立
ちます。こんなときにユーモアで返せるといいで
すね。
福田健『ユーモア話術の本』(三笠書房)


26,楽観的な見方が人を救う
(高学年・子どもが失敗して落ち込んでいるときに)
 
こんな話があります。
 ある村には「三年峠」と呼ばれる峠で転んだら、
三年以内に死んでしまうという言い伝えがありま
した。また、実際にその峠で転んでしまったがた
めに亡くなった人もいたそうです。
 ですから、村人はその峠にさしかかると慎重
に歩くようにしていました。
 ところが、その村にすむ男が、あるとき峠に
さしかかると、小さな小さな石につまずき転ん
でしまいました。元来気の弱い男は、「俺は、あ
と三年で死んでしまうんだ」と寝込んでしまいまし
た。食事もとらず、外にもでないので、このまま
では三年ももたずに死んでしまうのではないかと
奥さんや子どもたちは大変心配しました。
 そこで家族は、夫の親友に相談してみることに
しました。
 すると、親友は「まかしとけ」といって、寝込んで
いる男にこういったといいます。
「一回転んで三年生きられるなら、二回転べば六
年だ。今から峠に行って、五,六回転んでこい」
 それをきいた男は、「そうか!」といって立ち上が
り峠に向かったと言います。そして、人一倍長生き
したそうです。
 一度してしまった失敗は、取り返しがつきません。
 でも、それを逆転の発想で前向きに考えると意外
と道は開けるものかもしれません。
福田健『ユーモア話術の本』(三笠書房)

27,私くらいさぼっても・・・・という気持ちをやめよう
 (高学年・帰りの会で)

  ある村で酒盛り(宴会)をする事になりまし
 た。その時、一人一人が徳利一杯のお酒を
 持ち寄ることになっていました。その集めた
 お酒でみんなで楽しもう、というわけです。
  若い衆はみんな手に手に、徳利を持って集
 まりました。
  ところが、熊五郎という男だけは、「一人くら
 い水を入れて行っても分からんだろう」と思い、
 徳利に水を入れていきました。
  やがて、酒盛りのときになり、全員の杯に
 酒がつがれました。
  熊五郎は、一気にその酒を飲み干して、こう
 つぶやきました。
 「まさか、みんな、おれと同じ考えだとは・・・」
 そうです、全員が水を持ってきていたのでした。
  酒盛りは、とても白けたものになりました。
 「私くらい・・・」という気持ちが宴会を楽しくない
物にしてしまったのです。
 出典 笠巻勝利『目からウロコが落ちる本』(php研究所)

28,慣れたことこそ確認を忘れずに
 (中高学年・朝の会、帰りの会で)

  ある朝の話です。
  私は、眠たい目をこすりながら、洗面所に立ち
 ました。
  毎日繰り返すことですから、よく確かめもせず、
 私は片手に歯ブラシ、片手にチューブを持ちまし
 た。チューブはパンパンでしたから、きっと買って
 きたばかりなのだろう、と思いました。
  ニュルニュルっと、歯磨き粉を歯ブラシにのせま
 す。そして、勢いよく磨き始めました。
  ところが、いつもより何となく泡立ちがよいので
 す。しかし、きっと新製品なのだろうと思い、そのま
 ま磨き続けました。
  ところが、異常なほど泡だってきました。鏡に映っ
 た私の顔は、まるで水からあがったカニでした。泡
 の中に顔があるという感じでした。
  そこまできて、私は、初めてチューブを確かめま
 した。
  何とそこには、「洗顔フォーム」と書いてあったの
です。歯磨き粉だと思っていた物は、妻の洗顔フォ
ームだったのです。
  慣れていることだからときちんと確認しないとた
 いへんなことになってしまうのだと反省をさせられ
 ました。  

29,人からの影響
  ある時こんなことがありました。
  夏の暑い日、職員室でのことです。
  先生方は、土曜日の放課後、そろそろ出前で
 もとろうかと考えていました。
  するとある女性の先生が、「私、暑いから、軽
 くもりそばでいこうかしら」と言いました。
  それに影響されて、周りの先生方も「ああいい
 ね、もり」「ぼくも、もり」「わたしも、もり」「おれも、
 もり」といっていると、そこに電話がかかってきまし
 た。
 でたのは、若い男の先生。
 受話器を取り、口からでた言葉は「はい、もりも
り」。
 このように、人間というのは、たいへん影響され
やすい生き物です。
 どうせ影響を受けるなら、良い影響を受けたい
ですね。

30,マグロは時速一六〇キロメートルで泳ぐ
   (高学年・漁業学習の時に)

   日本人がもっとも好きなすしのネタといえ
 ば、マグロ。そのマグロは海の中をいったい
 時速何キロメートルで泳いでいると思います
 か?マグロは何と時速160キロメートルで
 海をおよぐのです。あの野茂投手のストレート
 よりも速いのです。
  また、マグロは生まれてから死ぬまで、絶
 対に泳ぐのをやめません。眠るときも速度を
 下げるだけで、やはり泳いだまま眠るのです。
  逆に泳ぐのをやめるとマグロは呼吸ができ
 なくなり、すぐに死んでしまいます。
  マグロ漁は、そうしたマグロの特徴をうまく
利用して行われています。
  つまり、漁法と魚の生態や特徴というのは、
 たいへん深く結びついていると言うことですね。

 中村幸昭『マグロは時速160キロで泳ぐ』
PHP文庫

31,米トレー
  (高学年・環境教育のときに)

  1998年に行われた長野オリンピックの
 ときに、選手村のレストランではある試み
 がされていました。その試みとは、皿やカ
 ップにされたある工夫です。
  なんと、皿やカップが米を原料にして作ら
 れていたのです。まさに、お腹の空いてい
 る人、時間がない人は、皿ごと食べても大
 丈夫というわけです。
  では、なぜこんなことがおこなわれたの
 でしょう。それは、環境に気を配ってのこと
 だったのです。この皿やカップ、名前を米ト
 レーと言い、燃やしても有毒なガスが発生
 しない、場合によっては肥料にすることが
 できるという優れもの。
  一部のスーパーマーケットでは、すでに
 食品をのせるトレーとして実用化されてい
 ます。また、ジャガイモを原料としたポテト
 レーというものもあり、みなさんの目に触れ
 るのもそんなに先のことではないかもしれ
 ません。
     
32,ペットの散歩グッズ
 (中学年以上・朝の会)

  ペットの中で、飼い主と喜んで散歩して
 くれる動物といえば、まず第1に犬が挙げ
 られるでしょう。自分のことを飼い主の家
 来と考えている犬は人間にとって、散歩に
 つれていっても非常に扱いやすい動物で
 す。
  しかし、そうした動物だけではありません。
  特に猫は、気まぐれで我が儘だといわれ
 ます。私の知り合いで、猫に首輪をつけ犬
 のように散歩に連れ出した人がいます。と
 ころがその猫は、飼い主がひもを放したす
 きに木に登り、おまけに糞までして、2時間
 近く降りてこなかったそうです。
  ところで先日、ペットショップに行った際、
 ハムスターの首輪と、散歩用のひもを見つ
 けました。猫でさえ、そうなのに、ハムスタ
 ーならいったいどんなことが起こるのだろう
 と一人で苦笑いをしてしまいました。

33、吉本
  (高学年・朝の会など

  関西のお笑いタレントといえば、そのほと
 んどが吉本興業という会社に所属していま
 す。この吉本という会社、お笑いを扱ってい
 るから、いいかげんかというと、そうではなく
 て、創業80年以上の歴史を持つ大企業で
 す。
  その経営理念は「人々に笑顔や笑いを、
 いつももてるようにすること」として、社会に
 貢献することをうたっています。
  また、社員とタレントは平等であるという考
 えから、マネージャーであっても、タレントの
 鞄はもってはいけないことになっています。
 吉本には、そうした非常に厳しいルールが
 存在しているのです。
  しかし、そうした厳しさやまじめさが、あの
 おもしろさの源なのかもしれません
  堀江誠二『吉本興業の研究』(朝日文庫)  

34,シェイク
 (高学年?朝の会)

 ファーストフードで夏の定番飲み物といえ
ばシェイク。
 そのシェイクのあまりの吸いづらさ
にいらいらしたことはありませんか。
  しかし、あのシェイクの堅さには意味が
 あるのです。Mというファーストフードのシ
 ェイクの堅さは、計算されて作り出された
  ものだそうです.
    まず、この会社の開発部は吸ったとき
 に人間がもっともおいしさを感じることの
 できる堅さを調べたそうです。
  すると、それは赤ん坊が母乳を吸うく
 らいの堅さだという結論にたどり着いた
 そうです。
  そこで、シェイクを母乳を吸うときくらい
 の堅さにしたそうです。
  一つの商品が生まれるまでには、不思
 議な研究がされているものなのですね。

  博学こだわりクラブ『トリックの不思議』河出書房新社

35,留守番電話
  電話ほどここ最近変化をした物も珍しい
のではないでしょうか。昔懐かしい黒電話は、
あまり見かけなくなり、自動車電話、携帯電
話、FAXつきの電話、留守番機能付きの電
話も広く普及しました。
 しかし、それらの発明はひょんなことがきっ
かけで行われることも多いようです。
 例えば、留守番電話。ある電気工事会社
に勤めていた橋本さんという人は、借金取
りからかかってくる脅迫めいた電話に悩まさ
れていました。と言っても、橋本さん本人の
借金ではなく、以前に同じ電話番号を使って
いた誰かあての電話なのだそうです。一回
一回借金取り立ての電話をとるのは煩わし
いので、ベルが鳴ると自動的に受話器が持
ち上がり、相手の声が録音されると言う装置
を作ったそうです。それが、現在の留守番電
話の原型です。
 橋本さんのまえに、その電話番号を使って
いた人が借金をしてなかったら、留守番電
話は、現在も存在していなかったかもしれま
せん。  
新雑学研究会 編『おもしろすぎる話のタネ本』(コスモ出版)

36,ウオークマン
  (高学年・工業の学習の際に)
  近年、音楽を聴く機械ほど進化した物は
 ないのではないでしょうか。
   レコードからCDへ、ミュージックテープ
 からMDへというソフトの変化もさることなが
 ら、大型ステレオからウオークマンへという
 変化はまさに大革命といえます。
   さて、このウオークマン、ソニーのある
 若手社員の遊びがきっかけでできたことを
 知っていますか。
  この社員は、それまでにあった小型のテ
 ープレコーダーを自分で改造して、ヘッドホ
 ンをつけて好きな音楽を聴いていたそうなの
 です。それを、たまたま事業部に遊びに来
 ていたソニーの名誉会長井深大さんが見
 つけたそうです。
  そして、社員が「歩きながらでも、聴けるス
テレオです」とその機械を説明しました。
 これが大ヒット商品、ウオークマンの誕生の
瞬間です。
  遊びが時として、大発明につながることも
 あるです。遊び心を、いつでも大切にしたい
ですね。

新雑学研究会 編『おもしろすぎる話のタネ本』(コスモ出版)

37,同じアイディアを同時に何人もの人が
  持つ
 (高学年・朝の会)

 心理学者のユングは、共時性というたいへ
ん不思議な学説を主張しました。
 この学説によると、全然違うところにいる人
が同時に同じ考えを持つというのです。
 そんな馬鹿なと思うでしょうが、歴史に残る
ような大発明の中には何人かの人が、同時
に考えついた、というものがあります。
 例えば、電話を発明したのはベルですが、
エライシャ・グレイという人もほとんど同時に
電話を発明しています。
 また、ダーウィンとウオレスも同時に進化
論を、また万有引力もニュートンとロバート
フックという人が同時に発見しています。
 そして、ライト兄弟と同時期に飛行機を考
案していたのが、何と日本人の二宮忠八で
す。
 こうしたことは確かに不思議な話ではあり
ますが、そうした便利な物や考え方を多くの
人々が、求めていたということもいえるかも
しれません。

フリーランス歴史研究会 編『学校で教えない歴史<近代編>』永岡書店 
七田眞『超右脳革命』三笠書房
 

38,ツタンカーメンの呪い!?
 (高学年・空き時間)

 ツタンカーメンの呪いというと、少しはきい
たことのある人もいるでしょう。1922年に考
古学者カーターが古代の王ツタンカーメンの
墓の入り口を掘っていると壁には、死に神の
絵と「王の墓をあばくものは、死の翼にふれ
るだろう」という呪いの言葉が現れました。
 しかし、発掘はその言葉を無視する形で進
められ、中からは数千億円相当の埋蔵品と
黄金製品3500点が発掘されました。
 やがて、関係者を謎の死が襲ったのです。
 ある者は、墓の中で蚊に刺されて死に、ま
たある者はナイル川に落ちて死に、ある学
者は「私はファラオの呪いを知った」という遺
書を残して自殺。
 そして、この謎の究明に乗り出したライとい
うエジプトの役人も墓を訪れたあと「ツタンカー
メンの呪いが・・・・」といって死亡。
 また、被害は発掘していた者だけではなく、
その親類にも及び、妻や母、兄弟を亡くした
人もいて、呪いの被害者は30人以上といわ
れています。
 そして、この謎は未だに究明されていません。
桐生操『びっくり!世界史無用の雑学知識』(ワニ文庫) 

39,ピンチを乗り切る方法
(中高学年・朝の会や帰りの会で)

   ピンチを乗り切る方法は、色々とあるでしょ
  うが、もっともいいのは逆転の発想です。
   つまり、失敗や困った状況をチャンスに変
  えてしまうのです。
   10年ほど前に東北を大型台風が襲いまし
  た。強い風が吹き荒れ、青森の産業の要で
  あるリンゴがことごとく地面に落ちました。
   ところが、青森の方々は偉かった。落ちて
  しまったリンゴを惜しがらずに、なんと枝に残
  ったリンゴを「落ちないリンゴ」として売り出し
  たのです。それが、受験生に大うけ。
   かなりの利益を上げたそうです。
   大切なのは、ピンチをチャンスに変える逆
  転の発想なのですね。
      太田典生『いい話のおすそわけ』三笠書房