美しい物とは何か
 (この授業のオリジナルについて情報をお持ちの方は
  伝言板にてお知らせください)

 1、導入はドラマチックに!

  あなたにとって、美しいものとは何ですか。
  これから音楽を1分程度かけますから、その間目をつぶって考えましょう。

   何を始めるのか、怪訝そうな顔付きの子どもたち。
   しかし、目を隠したり、顔を伏せたりする。
   教師は、「G線上のアリア」をかける。
   CDを止める。そして言う。
  『色々、思い浮かんだと思うけど、一つだけ言ってください』
   全員起立させ、発表させる。
  『あなたにとって、美しい物は?』
  「湖」「夕日」「海からの日の出」……。
   次々に言わせ、教師は板書していく。

 2、唐突なる仕掛け
   教師は、油粘土をちぎり、一人一人に素早く配る。

  ウンコをつくってください

  子どもたちは聞き返す。
  「え?」『ウンコです!』
   教室の雰囲気は一変する。
   わーわー、ぎゃーぎゃー。
  『○○くんのは大きいね。いやー、○○さんのはウサギの糞だー』などと
 言いながら机間を回る。

 3、ここからが本番
  全員がつくったのを見計らって、画用紙でつくった便器を提示する。
  子どもたちは尚一層ぎゃーとなる。
  教師はトーンを落として、次のように言う。

 これから、各班に一つずつ便器を配ります。いま、みんながつくったウンコで思いっきり汚してください。

 なぜか嬉々とする子どもたち。これでもかという程……。目茶目茶である。な
かなかスゴイ便器のできあがりである。
 騒然とする子どもたちを落ち着かせ、次のように問う。

  あなたがトイレに入りました。ところが、目の前にあるような便器でした。どうしますか。各班で芝居をしなさい。ただし、芝居は全員が必ずやります。はい、どうぞ。

 芝居をしている子どもはなぜか無言。
 時折、見ている子どもから笑いが漏れる。

 4、さあ発表
   教師は、3名を指名し、全員の前で演じさせる。
   1人目は、見た瞬間、使うのをやめて、出て行く。
   2人目は、なくなくそのまま座り、用を足して出て行く。
   3人目は、ティッシュで便器を拭いてから、用を足し出て行く。
   3人目の子がティッシュで拭き始めたとき、一部から拍手が起こる。
   教師は、『なるほどねー』とか『ふーん』とか言って見守る。

 5、美しいものとは?
  『こんな詩があります』と言って、プリントに印刷した次の詩を配布する。

  詩「便所掃除」へジャンプ

   ゆっくりと、教師が朗読する。
   読後、分からない言葉を聞き、説明する。
   そして、問う。

   

  本当に美しい物とは何ですか 

  机間巡視の後、指名する。
  「掃除した後の便器です」
  「人の嫌がる仕事でも、一生懸命にする人です」
  「浜口さんのような人の心です」

6、伝言板
  便所掃除の詩は次の文献からの引用。
  ただし、発達段階を考え一部改作(山田)。
  真壁 仁 編『詩の中にめざめる日本』(1996 岩波新書)